アートとデザインにおける色彩心理学

ミツバチは赤色を見ることができませんが、人間には見えない紫色を見ることができます。 この現象は、ミツバチの紫と呼ばれ、人間が見ることができる光スペクトルの領域と異なることに関連しています。 私たち人類が見逃している他の色は何だろうと考えさせられますね。

寒色系の作品を見て落ち着いた気分になったり、暖色系の作品を見て作者のエネルギーや情熱を感じたりしたことはありませんか？ この感覚は、要するに色彩心理なのです。

私たちは、自分の好きな色や身の回りの色から、日常のさまざまなことを判断しています。 自分に似合う色の服を見つけたときの喜び、暗い壁や光の少ない建物に入ったときの気持ち。 普段はあまり意識しないけれど、こうした小さな要素が私たちの暮らしに影響を与えています。

色彩心理とは何か？

色彩心理とは、色が人間の行動や感情、知覚に影響を与える現象のことです。 私たちは、特定の色とそれが喚起する感情を本能的に結びつけていますが、その意味合いは文化や個人の経験によって様々です。

色彩心理とは、主に色彩理論に関わるものです。 色と色の間には、原色、二次色、三次色、補色など様々な関係があります。 これらの色をどのように並べるかで、色の感じ方や見る人に影響を与えます。

色彩は何千年も前から、ある感情を呼び起こすために使われてきました。 人類は、ギリシャ、エジプト、中国などの古代の習慣の中で、色彩の連想を使ってパンテオンの神々との関連を作り、特に自然の要素、光と闇、善と悪に関連付けるために使ってきました。

古代エジプトや中国では、色が身体の特定の部位を刺激すると考えられていたため、健康上の問題を治療するために色が使われたこともあります。

色には様々な意味があり、特定のイベントや儀式に関連することが多いため、その象徴は国によって大きく異なる。

西洋文化では、白は純潔、無垢、清潔を連想させ、黒は権力、洗練、神秘を連想させることが多い。 黒は葬儀の際に着用する喪服の色としてよく見られる。

東洋の文化では、白は死や弔いを連想させるため、葬儀の際に着用するのは白が多い。 また、赤は東洋の文化では欠かせない色で、幸運や幸福を象徴し、結婚式などのお祝いの席によく使われる。

また、ネイティブアメリカンの文化では、赤は太陽の生命力を、緑は成長と再生の象徴とされ、儀式と色彩を強く結びつけています。

全体として、色は世界中の人々にとって多くの意味や関連性を持ち、文化的なコミュニケーションや表現に欠かせないものであることがわかります。 デザインやマーケティングで色を使用する際には、文化的背景を考慮することが重要であり、異なる文化では異なる意味合いを持つことがあるからです。

色は常に人類を魅了してきましたが、色のスペクトルを理解するようになったのは、比較的最近のことです。

最も大きな飛躍は、アイザック・ニュートン卿が、私たちの身の回りの光は白色ではなく、さまざまな波長の組み合わせであることに気づいたことで、波長によって色が異なるというカラーホイールの理論が生まれました。

色彩心理の始まり

色彩理論の開発は純粋に科学的なものであったが、それでも色が人間の心に与える影響を研究する者もいた。

色と心の関係を最初に探求したのは、ドイツの芸術家、詩人であるヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの作品です。 1810年に出版された彼の著書で 色彩の理論 しかし、この本は著者の意見が中心であったため、科学界ではあまり受け入れられませんでした。

ゲーテの研究を発展させ、神経心理学者のクルト・ゴールドスタインは、波長の違いから、波長が長いと暖かく感じたり興奮したり、波長が短いと冷たく感じたり、リラックスしたりと、色が見る人に与える物理的影響をより科学的に検証しました。

また、ゴールドスタイン氏は一部の患者さんの運動機能を調査し、色が手先の器用さを助ける、あるいは妨げるという仮説を立てました。 その結果、赤は震えやバランスを悪くし、緑は運動機能を改善することがわかりました。 これらの研究は科学的ですが、他の科学者がまだ結果を再現できていないため、広く受け入れられるものではありません。

色彩心理学のもう一人の思想家、カール・ユングは、色が人間の意識状態を表すという説を唱え、色を治療に役立てようと、色の持つ隠されたコードを見つけ出し、潜在意識を解き明かす研究をしました。

ユングの理論では、人間の経験を4つのパートに分け、それぞれに特定の色を割り当てました。

• 赤色です： フィーリング

  シンボル：血、火、情熱、愛

• 黄色です： 直感

  シンボル：輝く、外に向かって放つ

• ブルーです： 考えること

  シンボル：雪のような寒さ

• グリーンです： センセーション

  シンボル：大地、現実を認識する

これらの理論は、今日の色彩心理学を形成し、私たちがどのように色を経験するかを説明するのに役立っています。

しかし、ゲーテの研究が正当化される一方で、多くの先駆者の研究が否定されるに至っていません。 しかし、否定されたからといって、彼らの研究にインパクトがなかったわけではなく、彼らは現代の科学者を動かし、色彩心理という謎を深く掘り下げています。

色彩が人に与える影響

ピンク色の商品を見て、あなたはどんな性別を連想しますか？ その理由を考えたことはありますか？ 皮肉なことに、ピンクが女の子に割り当てられたのは比較的最近のことなのです。

ピンクは、当初は赤と同じように男の子を連想させる色とされ、赤との関連性から青よりもたくましく、青は落ち着いていて可憐な色とされていた。

1930年代のドイツでは、ピンクは一般的に女性的な色とされていました。

もうひとつ、ピンクが人間の脳に与える影響も興味深い。 ベーカー・ミラーピンクは、「ドランクタンクピンク」とも呼ばれ、人を落ち着かせる効果があるとされるピンクの色合いです。 1970年代にアレクサンダー・シャウス博士によって初めて用いられ、この色を長時間浴びることで攻撃的行動を抑えられると主張しました。と、落ち着きやリラックス感を高めることができます。

それ以来、ベイカーミラーピンクは、刑務所や病院など、ストレスの多いさまざまな場所で使用されるようになり、また、その効果が来訪するスポーツチームのエネルギーレベルを変えるために使用されたことから、学校のロッカールームでは禁止されるようになりました。

しかし、ベーカーミラーピンクの鎮静剤としての効果を裏付ける科学的根拠はまちまちであり、その効果を十分に理解するためには、さらなる研究が必要です。

色彩が私たちに与える影響に関する現代の考え方

現代の研究でも、色彩が身体に与える影響、色彩と感情の相関、行動と色彩嗜好などが主に議論されています。

研究者が使用できるツールも増え、科学的な検証を行うためのガイドラインも厳しくなり、昔の研究とは方法が異なっています。

色の嗜好に関する研究は科学的に厳密ではありませんが、色の生理的効果に関する研究の多くは、心拍数、血圧、脳活動などを測定し、異なる色の波長の効果を確認します。 赤いスペクトルの色は刺激的であり、青いスペクトルは鎮静効果があることが一貫して証明されています。

色の人気ランキングを見ると、意外にも明るい色や彩度の高い色が上位を占め、暗い色の順位は低く、苦手な色としては茶色、黒、黄緑などが挙げられます。

色に対する行動は、難しい研究分野です。 研究者が用いる方法のひとつは、形容詞のリストを用いて、被験者がその色を最もよく表すと思う反対語を2つ選ぶというものです。 その平均回答から、異なる色に対する態度の一般的な考え方がわかります。

また、色彩の違いが意思決定環境にどのような影響を与えるかについて、より詳細な研究が行われています。 ある店舗では壁が赤く、別の店舗では壁が青く、背景色が変わると小売店の行動が異なるという研究です。

このJournal of Consumer Research誌の研究では、青い壁の店舗ではお客様が商品を購入する意欲が高く、赤い壁の店舗では、閲覧や検索が少ないお客様は、環境に圧倒され緊張するため、購入を延期する傾向が強く、購入点数が少なくなることが示されました。

これらの研究は、コントロールされた環境での具体的な反応を示していますが、色に対する反応の違いは、環境や文化によって異なることを理解するのに役立ちます。

色の違いが私たちに与える影響

赤が個人のパフォーマンスに与える影響は、状況によって大きく異なる。

Journal of Experimental Psychology誌に掲載されたある研究では、黒、緑、赤の参加番号を与え、よりアカデミックな環境で色の影響を調査しました。 平均して、赤い番号を与えられた「不運な」人は、テストの成績が20％悪くなりました。

2004年のオリンピックで、4種類の格闘技のユニフォームを赤と青の2色で比較したところ、29階級中19階級で赤のユニフォームを着た選手が優勝しました。 この傾向は、サッカーなど他のスポーツでも同様です。

赤は歴史的に「戦争」「攻撃」「情熱」を連想させることから、大胆な行動をとるようになったのではないか、という説もあり、その理由は研究者によって解明されているようです。

この現象のメカニズムはまだ解明されていませんが、インパクトのある結果をもたらしていることは確かです。

私たちは気づいていないだけで、色は私たちの判断材料になっています。 その判断材料は、特にファッションの分野で示されています。 Leatrice Eisemanの研究では、色が作り出すバイアスに大きなパターンがあることがわかりました。

職場で好印象を与える色を探すと、緑、青、茶、黒の4色になります。 緑は、新鮮さ、エネルギー、調和を感じさせる色です。

特にデスクワークなど活力が必要な仕事には最適です。 青は知性と安定につながり、職場での信頼につながります。 青と黒はどちらも権威があり、黒はエレガントな印象があります。

赤は攻撃的な色で、心拍数の上昇と相関があり、反感を買うかもしれません。 灰色は自己主張が弱く、エネルギーに欠ける色と思われます。

また、黄色はハッピーな色ですが、仕事場ではエネルギッシュすぎるかもしれません。

一般的に、集中力や生産性を高める色とされているのは緑色で、デスクトップを緑色にすることで、目の負担を軽減し、快適な作業環境を作ることができます。 また、オフィスの壁にも緑や青が適しており、プレッシャーのかかる環境での不安を軽減します。

ソーシャルメディアもカラー駆動に

人間は常に彩度の高い色に惹かれてきました。 それは、特にInstagramやTikTokなどのアプリにおける写真フィルターの現象を見ても明らかです。

これはすでに興味深い事実ですが、このインタラクションは、暖かさ、露出、コントラストを使った写真に偏っていることも示しています。

その効果を考えてみると、暖色系は明るく生き生きとした印象を与え、視聴者に魅力的に映ります。 また、視聴者の印象にも長く残ります。

写真に活力を与えるには、露出も重要な要素です。 光のバランスを調整することで、くすんだ色や暗い色を表現することができます。 露出が多すぎると色が飛んでしまったり、露出が少ないと暗くなったりするので、繊細な作業が必要ですが、写真に活力を与えるには、露出も重要です。

露出に加え、写真のコントラストも重要です。 このフィルターの機能は、暗い部分と明るい部分をシャープにすることです。 コントラストが高い画像は、視覚的に面白く、私たちにアピールします。

光の戯れや色の大胆さは、自分でも気づかないうちに世界の意味づけをしています。 私たちは、身の回りにある特定の色の要素に惹かれる傾向があります。 その要素を理解することで、私たちを取り巻く世界の意味づけをより深めることができます。

コンピュータのテーマやオフィスのカラーを知ることで、生産性が向上し、スピードの速い仕事環境での過度のストレスから解放されるかもしれません。

また、エンゲージメントがソーシャルメディアのアルゴリズムに影響を与える世界では、投稿の色のバランスを変えることで、より注目を集め、視聴者が立ち止まって見たり、交流したりするよう促すことができます。

しかし、色彩の力を最も活用するのは、やはり芸術分野です。 芸術もマーケティングも、色彩がもたらす効果を日常的に活用し、見る人の反応によって相互作用を生み出し、ひいては市場価値を生み出しています。

アーティストとデザイナーの色彩心理の活用法

ピクトグラムが作られるようになってから、色彩は文化に大きな影響を与えるようになりましたが、もともと手に入りやすい色とそうでない色がありました。 古いイメージほど、色彩のバリエーションは少なくなります。

古代文明では、ラピスラズリという希少で高価な資源を削って青色を作るのが主な方法でした。 クレオパトラが青いアイシャドウとして使っていたのも、この石を削ったものだったと言われています。

エジプトでの開発により、最初の合成顔料であるエジプシャンブルーが誕生した。 この顔料は紀元前3500年頃に発明され、陶磁器の着色や絵の具として使われた。 研いだ銅と砂を使い、超高温で焼くことで鮮やかな青を作り出したのである。

エジプシャンブルーは、エジプト、ギリシャ、ローマ時代を通じて、美術品の背景色としてよく使われていました。 ローマ帝国の崩壊とともに、この顔料のレシピが不明となり、ブルーは希少な絵の具のひとつとなりました。

青の希少性から、20世紀以前に制作された絵具に青色顔料を使用した作品は、高名な画家の作品か、裕福なパトロンからの依頼によるものでした。

私たちが紫色と王族を結びつけて考えるのは、紫色の原料がカタツムリの一種で、特定の粘液を抽出し、一定期間日光に当てて加工する必要があったため、色素の入手が困難であったためでもあります。

紫色の染料を作るのにカタツムリが大量に必要だったため、この顔料は王族しか使うことができず、そのため、今日でもこの色に対する私たちの見方は永久に偏ったものとなっています。

1850年代、イギリス軍がアフリカに遠征した際、ある科学者が紫色の染料を作るという画期的な発見をした。

ウィリアム・ヘンリー・パーキンは、キニーネという物質を合成しようとしていたが、残念ながら失敗した。 しかし、アルコールで洗浄しようとしていたパーキンは、茶色のぬめりが非常に色素の強い紫色の染みに変化するのを発見した。 彼はこの染料を「モーヴェイン」と名付けた。

パーキンは、この発明にビジネスチャンスを見出し、特許を取得して染物屋を開き、合成染料の実験を続けた。 この合成染料の進出により、紫などの色が大衆の手に入るようになった。

合成染料や顔料の発明により、色彩のバリエーションが増え、各時代の風潮をより的確に表現できるようになったことが、芸術の転機となりました。

今日、美術史家は美術品を分析する際に、その技法や色彩に注目することが多い。 色彩顔料の種類は、美術品の年代測定や作家が作品で何を伝えようとしたかを理解するのに役立つ。 美術史を分析する上で、色彩心理は基礎となる。

オールドマスターズ コントラストとキアロスクーロ

14世紀から17世紀にかけては、まだ顔料の関係で色彩が限定されていましたが、この時期に記録された主な芸術運動は、イタリア・ルネサンス、オランダ黄金時代を含む北方ルネサンス、マニエリスム、初期バロック、ロココなど、広くルネッサンスと呼ばれるものでした。

このような動きは、画家が限られた光の中で制作することが多かったため、イメージの中に高いコントラストを持つ作品を生み出すことにつながりました。 このような状況を表す言葉として、次のようなものがあります。 キアロスクーロ (レンブラントとカラバッジョは、この技法を用いた画家である。

色彩のコントラストは見る者を引き込み、暖色系は親密感や情熱的な雰囲気を醸し出し、しばしば被写体の鏡のように映し出されます。

ニコラエス・トゥルプ博士の解剖学レッスン』（1632年）レンブラント・ファン・レイン 画像出典：Wikimedia Commons

ロマン派 とナチュラルトーンへの回帰

ルネサンス以降、世界は当時の経験主義的な態度に対抗するため、感情的な側面への過剰な補正を試みた。 その後に起こった大きな運動がロマン主義である。

この時代は、自然の力や感情に焦点を当て、JMWターナー、ウジェーヌ・ドラクロワ、テオドール・ジェリコーのような芸術家たちが活躍しました。

ゲーテが色彩と感情の関係を研究したのと同じ時代に、ロマン主義の芸術家たちは、より多様な色彩を駆使して、壮大でドラマチックなイメージを作り上げました。

ロマン主義美術は、色彩が鑑賞者の感情を喚起することを利用し、コントラスト、色彩心理、特定の色彩を駆使して、鑑賞者の知覚を刺激するものでした。 色彩は、中世美術の要素を反映し、自然と人間のつながりへのオマージュとして使用されました。

多くの場合、ある特定の領域が作品の焦点となり、暗い絵に明るい色のパッチを加えるか、明るいトーンの作品に暗い領域を加えることで焦点となる。 この運動で使用されるトーン値は、一般に、より地に足のついた、自然を連想させるものである。

霧の海の上のさすらい人』（1818年）カスパー・ダヴィッド・フリードリヒ 画像出典：Wikimedia Commons

いんしょうしゅぎ とパステル

合成着色料を購入できるようになったことで、アーティストは色の組み合わせの可能性をより追求するようになりました。

印象派は、ルネサンス期の硬直した論理から脱却し、ロマン主義を土台に、より感情を込めた作品です。 夢見心地なのは、淡い色、時にはパステルカラーに近い色を、目に見える筆致で表現したためでしょう。

この時代から始まったパレットの拡大やチューブ入り絵具の携帯性により、画家たちは自然の中に出かけて絵を描くようになり、絵画運動と呼ばれるようになりました。 アン・プレイン・エア 新しい色彩のおかげで、光や季節の異なる自然の風景を捉えることができ、時には同じ風景を異なる色調で何バージョンも描くこともありました。

干し草（夕焼け）』（1890-1891年）クロード・モネ 画像出典：Wikimedia Commons

表現主義、フォーヴィスム、 と補色

1904年から1920年にかけて、印象派の自然な色彩や柔らかなイメージを捨て、大胆な要素を取り入れるようになりました。 色彩は不自然な方向に向かい、絵具は厚く塗り重ねられ、広いストロークで描かれるようになり、表現主義と呼ばれる時代に突入します。

表現主義の時代には、色彩を駆使して、恐怖や恐怖といった感情的なテーマや、より幸福なテーマにもアプローチしました。 代表的な画家はエドヴァルド・ムンクです。 この芸術時代は、現実を客観的に再現するのではなく、感情を重視した作品です。

この運動は、アンリ・マティスなど、補色の効果を利用し、彩度の高い色彩でインパクトを与えることが多く、色彩の持つ情緒的な意味合いを利用して、人々の感情を呼び覚ました。見る人に感動を与える。

表現主義の先駆者の一人であるパブロ・ピカソは、キュビスムや抽象画でよく知られていますが、ピカソにはいくつかの異なるスタイルの時期がありました。 その一つが1901年から1904年の「青の時代」です。

この時期の絵画は、主に青単色で構成されている。 青と緑の色彩の使用は、友人の死をきっかけに始まり、色彩、憂鬱な主題、暗い色調に影響を与えた。 この時期の作品でピカソが注目したのは、社会のアウトサイダーの絶望感を伝えることであった。

における色の重要性 抽象表現主義

抽象表現主義の分野は、表現主義を基礎としながらも、写実主義の制約から完全に脱却した方法で色彩を使用しています。

ジャクソン・ポロックやウィレム・デ・クーニングなどのアクション・ペインターが、即興的な色彩のストロークを駆使した作品を制作したのがその始まりです。

ジャクソン・ポロックは、缶から滴り落ちる絵の具の飛沫や、絵の具をたっぷり含ませた筆でキャンバスをなぞるように描いた作品で、非常に有名です。

ジャクソン・ポロック - ナンバー1A（1948年）

アクション・ペインターの荒々しい身振りに対抗して、マーク・ロスコ、バーネット・ニューマン、クライフォード・スティルといったアーティストも抽象表現主義の時代に登場しました。

これらの作家はいずれも、単色の大きな面積やブロックで構成されるカラーフィールドペインティングのカテゴリーに属します。

単色やグラデーションもよく使われますが、カラーホイールを使って、どの色が3色や4色のハーモニーを形成しているかを見るのも色の選び方のひとつです。 カラーハーモニーは色同士のバランスをとるのに役立ちますが、作品全体の印象から、1色の支配色を選んで構成するのが普通です。

補色は、カラーホイールの反対側にある色なので、1つのイメージの中で2つの異なるエネルギーを表現するためによく使われます。

このようなコントラストカラーは、必ずしも純粋な形ではなく、微妙な色調の違いによって深みが生まれ、厳しいイメージになりがちなものに個性を与えることができます。

マーク・ロスコとアニッシュ・カプーアは、抽象芸術の中で色彩を使い、見る人に挑戦している魅力的な例です。

ロスコは、色彩、特に赤色を用いて、見る者の思考を内側に向かわせる。 彼の絵画は、2.4×3.6メートル（およそ8×12フィート）という非常に大きなものである。 この大きさは、見る者に色の効果を非常に親密に受け止め、体験させるものである。

2014年、Surrey NanoSystemsは、色のアンチテーゼとして、光をほとんど反射しない色（可視光線の99.965%を吸収する）を開発し、Vantablackと名付けました。

カプールはこの色の著作権を買い取りました。通常、色はより強い感情を呼び起こすために使われますが、Vantablackは虚無感や静寂を生み出します。

アニッシュ・カプーアはこの色を使ってアートを制作し、こう呼んでいます。 ヴォイドパビリオンV (2018).

ポップアートの 原色

1950年代、英米では、伝統的な美術の価値観に合わないコミックや大衆文化のイラストレーションを利用した新しいポップアート運動が起こりました。 より俗っぽいイメージを示すグラフィックスタイルや前衛的な題材、より若い観客にアピールすることは、学識者から激しい批判を浴びました。

この時代に流行した色彩は原色で、グラデーションのない平坦な色の塊として使われていた。

20世紀初頭、戦後の現代社会をアートで表現したアーティストたちは、ありふれたものを不条理な色彩で表現することで、従来の価値観や常識から脱却するメッセージを伝えました。 この時代を代表するアーティストに、ロイ・リキテンシュタインとアンディー・ウォーホルがいます。

ポップ・アートからオプ・アートへ

1960年代、抽象表現主義の流れを汲みつつも、独自のスタイルを確立した新しい芸術運動が生まれました。 オプアートと呼ばれるこの運動は、目を刺激する模様や後の色に基づいた抽象作品を作ることに重点を置いています。

オプ・アートは、前景と後景のパターンで目の錯覚を利用した純白のデザインから始まり、その後、色を使ってさらに錯覚を利用するようになりました。

このムーブメントの最も古い例のひとつは、1938年にヴィクトル・ヴァザルリ( シマウマ )が、オプ・アートが現象化したのは1960年代に入ってからである。

この時代の代表的な作家は、リチャード・アヌスキェヴィッチ、ヴィクトル・ヴァザルリ、ブリジット・ライリー、フランソワ・モレレなどである。 これらの作家は、オプ・アートの先駆者リチャード・アヌスキェヴィッチの作品のように、反対の色を用いて見る者の目を混乱させるなど、それぞれ異なる方法で光学要素に取り組んでいる。

の中に入っていく。 デジタルアート 世界

現在、私たちの身の回りにあるアートの大半はデジタルデザインで構成されています。 しかし、これは比較的新しいことだと思われるかもしれませんが、デジタルアートの始まりは1960年代です。

1963年、マサチューセッツ工科大学の博士課程に在籍していたアイバン・サザーランドが開発したベクターベースのデジタル描画プログラムが最初で、まだ白黒の線画しか描けなかったが、現在のすべてのデザインプログラムへの道を拓いた。

1980年代に入ると、家庭用コンピュータにカラーディスプレイが搭載されるようになり、より直感的な描画ソフトで色彩を表現できるようになった。 また、映画界で初めてCGIが使われるようになり、その代表的な例が長編映画「翔ぶが如く」だ。 トロン (1982).

1990年代は、Macのペイントからヒントを得たPhotoshopが誕生し、Microsoft PaintやCorelDRAWなど、現在も使われているさまざまなソフトが固まっていった時代です。

デジタルアートの進化は、私たちが創造できるものの可能性を広げました。 デジタルアートは、メディアの多様性を最大限に活用し、多くの産業で活用されています。

アートと色彩を駆使したモダンなインスタレーションは、没入感のある体験となっています。 拡張現実や仮想現実がゲーム業界に浸透し、シナリオごとに異なるカラーパレットで雰囲気を演出する一方で、もうひとつの体験として、インタラクティブな展示も盛んになっています。

スケッチ・アクアリウムは、子供たちが自分の水槽の動物を描き、それをスキャンしてデジタル化し、他の作品と一緒にバーチャル水槽に入れるというインタラクティブアートの一例です。 バーチャル水槽の青さに囲まれながら、好奇心と創造性を刺激され、静かなアクティビティを体験することができます。

チームラボボーダレスが開発した世界最大のインタラクティブアートビル「森ビル デジタルアート ミュージアム」は、5つの大きな空間に、カラフルな花のディスプレイ、穏やかな涼しげなトーンの滝のディスプレイ、そして色が変化する不思議な浮遊提灯など、観客のさまざまな感情を喚起するデジタルディスプレイを配置しています。

今日のデジタルアートは、伝統的なアートの形式的な制約から解放されています。 伝統的なアートの手法を模倣する場合でも、物理的なアートにはない方法でツールを操作することができるのです。

色彩心理学は、「色彩心理学のすすめ」の中で明確に描かれていますが、ピクサーの映画における色彩の使い方は、その典型的な例です。 インサイド・アウト (2015)では、別の例として、色の彩度や、映画の様々なシーンで選んだ異なるパレットを紹介しています アップ (2009).

における色の役割 デザイン

デザインは、アートと同じように、色を使ってそれぞれの企業の価値観やブランドアイデンティティを表現しています。 今日、最も認知度の高いブランドの中には、人々が本来持っている色の意味合いを利用して、顧客を自社製品に引きつけるものがあります。

青は、落ち着きと信頼感を与える色とされ、医療、テクノロジー、金融など多くの業界で、顧客の信頼を得るために使われています。 当然ながら、青はロゴに最も多く使われている色の1つです。

コカ・コーラ、レッドブル、KFC、バーガーキング、マクドナルドなど、赤の持つ自然な刺激性から、食品業界ではよく使われる色です（ただし、黄色もマーケティングイメージを高めるために楽観的に使われていますね）。

また、赤はエンターテイメントや刺激を約束する色として捉えられており、私たちがエンターテイメントでよく利用する赤のロゴのブランドは、Youtube、Pinterest、Netflixです。

お気に入りのブランドの色違いをイメージしてください。 画像出典：Sign 11

マーケティング業界におけるグリーンは、環境保護、慈善、金銭などのメッセージを送るために使われ、一般的にウェルネスと関連しています。 私たちは、リサイクルサインやアニマルプラネットのグリーンのイメージを慈悲深いものとして信頼しています。 また、スターバックス、Spotify、Xboxなどの企業は、私たちをリラックスさせてくれるものとして知られています。

黒は、最も身近な色のひとつであり、高級ブランドのような時代を超えたエレガントな印象を与えます。 黒のロゴは、業種を問わないのです。

シャネル、プラダ、グッチなどの高級ファッションブランドは、黒の控えめさを好むと同時に、アディダス、ナイキ、プーマなどのスポーツブランドやスポーツゲーム会社EAゲームズの代表色でもあり、高級な印象を与える色です。

AmazonやFedExのオレンジは、新しい荷物の自由さやワクワク感を、M&M'sやNespressoのブラウンは、温かみや土臭さを表現していますね。

ユーザーインターフェースとユーザーエクスペリエンス（UI/UX）デザインに関して、色は、ユーザーが製品のアプリ画面やウェブページをどのように見て、どのように操作するかに影響します。

色彩心理は、コールトゥアクション（CTA）に対する消費者の反応に影響を与えることが繰り返し示されています。 しかし、UXデザイナーやマーケティング担当者は、どのデザインが最も顧客転換を促進するかをどのように知るのでしょうか。 その答えはA/Bテストにあります。

デザインチームは、同じCTAをウェブサイト訪問者の間で分割してテストします。 これらのデザインに対するオーディエンスの反応を分析することで、どのCTAを使用すべきかがわかります。

ハブスポットのテストでは、緑と赤にはそれぞれ意味があることを知り、お客様がどちらの色のボタンをクリックするかに注目しました。 その結果、緑はよりポジティブに捉えられる色であり、お気に入りであると判断しました。

UI/UXデザインでは、赤は注目を集め、緊急性を高める効果があります。 しかし、今回のテストで赤が有利だったからといって、それが普遍的な事実だと思わないでください。 マーケティングにおける色の認識や好みは、さまざまな要因で変化します。

カラーオプションを変更する前に、必ず自分の顧客でテストしてください。 その結果に驚き、顧客についてより深く知ることができるかもしれません。

人生を色とりどりに眺める

色の使い分けは古来より行われてきましたが、興味深いことに、その使い分けは何世紀もの間、消滅と変革を繰り返した文化圏の中でもほとんど変化していません。

例えば、西洋では白は純潔を意味し、結婚式で使われますが、中国や韓国など東洋の文化では死や喪、不運と結びついています。 だからこそ、自分が使いたい文脈や市場において、色を選ぶ意味を知ることが重要なんですね。

色彩心理の歴史は古く、残念ながら、このテーマに関する多くの文献はまだ分かれています。 厳密なテストに耐えられる研究分野は限られています。 私たちが色から連想し判断するには、個人の好みが不可欠です。 最近の研究が、この問題に決定的な光を与えてくれることを願っています。

このように、私たちは色彩と感情との結びつきを強く意識するようになりました。 そして、芸術における色彩の使い方は、マーケティングやデザインにも応用されるようになりました。

あなたの身の回りを見渡してみてください。 あなたが選んだ生活用品は、市場にアピールできる色合いで作られていますか？ マーケティングチームが苦労して選んだ身の回りの色を、私たちは積極的に意識することはありませんが、潜在意識レベルでは意識しています。

これらの色は私たちの日常生活に影響を与えますが、その中には小さなこと（どの銘柄のコーヒーを買うか）もあれば、もっとインパクトのあること（オフィスの壁の色が気分に影響を与える）もあるかもしれません。

Vectornatorを使って、イラストやデザインに合う色や、色相を変えることで全く違う感情表現ができることを確認してみてください。

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